化学グランプリ2023参加記

こんにちは。aspiです。先日、化学グランプリの予選を通過し、本選に参加してきたので参加記にしたためたいと思います。

 

本選一日目

本選は8月29日~30日に工学院大学八王子キャンパスで行われました。

正午前に八王子駅のバス停で集合することになっていたのですが、1時間以上早くついてしまったので、それまでカフェで昼食を取りながら化学の問題集を解いていました。

集合時刻の15分ほど前にバス停に行ったのですが、その時の八王子の気温が37度もあったので、屋内で集合時間まで待っていろと言われました。

猛暑の八王子

バスの中では隣に座った高二の参加者と少しお話をしましたが、本選前でかなり緊張していたこともあり、あまり話せませんでした。

工学院大学につくと、白衣や保護メガネ、お土産の周期表トランプなどが配られ、本選競技についての説明がありました。途中で同期が会場にいることに気づいて、少し話しました。

 

本選競技

本選の統一的なテーマは「酸化鉄とその磁性」でした。僕は無機化学があまり得意ではないので、無機化学が出たのはかなりがっかりしました。

本選競技(実験)の様子

実験1

実験1のメインは塩化鉄(II)と塩化鉄(III)からFe₃O₄を主成分とする磁性流体を作り、その性質を調べるものでした。途中、磁性流体をプラスチックシャーレに塗って提出する必要があったのですが、読解力と注意力がないので塗り方をミスったり、そもそも塗り付けるためのプラスチックシャーレを取り違えたりして、大幅なタイムロスをするだけではなく、スタッフの先生にもかなり迷惑をかけました。(減点されててもおかしくないかも)

ここらへんで、周囲と比べて自分の実験の進み具合がかなり遅いことに気づき、急ぎ始めます。

 

実験2

実験2は硝酸鉄水溶液に1mLずつ水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pH試験紙でpHを測定するという、滴定のようなことをする実験でした。

机の上に置いてあったpH試験紙が見けられず、先生に聞きに行くと、「足りなくなったの?」と勘違いされてしまったのですが、くだらない質問をしたことで減点されたら嫌だなぁと思ったので、大人しく新しい試験紙をもらいました。(なお、試験紙はちゃんと机にありました。)

 

実験3

実験3は実験1で作った磁性流体を乾燥させたもの(Fe₃O₄)や、ゲーサイト(FeOOH)を加熱したり還元したりして磁性の変化を調べる実験でした。Fe₃O₄を炭素で還元する実験では、炭素の量が相対的に少なかったせいか、鉄まで還元が進まなかったのですが、実験の失敗で減点されたら嫌なので、鉄まで還元が進んだことにして適当なことを書きました。(オイ)

実験3の後半は理論問題で、Fe₃O₄が磁性を帯びる理由について説明された文章が与えられて、そこから考察して問題を解きました。

全ての実験を終え、最後の理論問題に着手した時点で残り時間が20分しかなく、時間に追われていたことに加え、聞いたこともない概念がいくつか出てきたので、最後の2問はしっかりとした考察ができませんでした。

 

懇談会

実験の後の懇談会では、バイキング形式の夕食を他の参加者と食べながら、1分程度の自己紹介スピーチをしました。参加者の中には個性的な自己紹介をしている人もいて、驚きました。

僕は、自分の得意分野と無機化学のつまらなさについてスピーチしようかと思ったのですが、「この中で無機化学が好きな人はいますか?」といったところ、誰も手を挙げなかったため、無機化学のつまらなさについてスピーチする手間が省けました。

他の参加者と話していて、JMO春や、APIO銀&物理チャレンジ代表候補といった、輝かしい実績を他分野でも残している人がいて驚きました。

懇談会

ホテル

懇談会後は八王子のホテルまでバスで移動したのち、9時くらいまで他の参加者とレクリエーションをしていました。レクリエーションでは、周期表トランプや、ルービックケージというゲームで遊びました。他のグループでは、人狼ゲームや、麻雀、ナブラ演算子ゲームをやっている人もいました。

ルービックケージ

ホテルの個室。風呂トイレ付



本選二日目

二日目はホテルで朝食を食べた後、工学院大学に移動し、エクスカーションをしました。

エクスカーション

エクスカーションでは、参加者とランダムなペアが組まれ、一次予選で扱った、シクロペンタジエンと無水マレイン酸のDiels-Alder反応の実験をしました。見たこともないような実験器具や薬品がいくつも出てきたので興奮しました。生成物の収率を計算すると、65%程度でした。運よくつよつよの後輩とペアになったので、実験をしながら、化学に関する雑談をしました。物理化学はどれくらい勉強しているか聞いたところ、永年方程式まで勉強しているらしく、かなり驚きました。有望。

生成物

 

昼食

エクスカーションが終わると食堂に移動し、昼食をとりました。バイキング形式だった懇談会の時の夕食とは違い、お弁当が配られました。近くに座った灘の人と熊本高校の人と母校や部活の文化やあるあるについて雑談しました。ちなみにこの時話した灘の人は表彰式で最優秀賞をもらっていました。

 

成績発表&表彰式

昼食後の表彰式では、予選と本選の総合成績の優秀者が表彰されました。

僕の成績は惜しくも銅賞でした。

大賞が5人、金賞が15人、銀賞が20人、銅賞が41人で、本選参加者は最低銅賞が保障されているので銅賞は実質的に本選参加証です。同校の他の人は銀賞と金賞を取っていたので自分だけ銅賞なのは悔しい結果となりました。

その後、予選と本選の詳細な成績が配られたのですが、自分は平均点+6点を取っていたので、おそらく銀賞まではぎりぎりで届かなかったようです。

また、予選の有機化学(問4)で満点を取れていたのはかなり嬉しかったです。その代わり問1の理論化学は二次進出者最低点でしたが、問題演習をサボってBruice有機化学を読んでいたことを考えれば当然の結果かもしれません。

予選と本選の成績

 

後日発表された各賞受賞者一覧によると、高二以下の参加者は13人で、国際化学オリンピック代表候補に慣れるのは20人程度と決められているので、代表候補にはなれると思います。正式に代表候補生になったら、4人の日本代表を選出する最終選考を目指してさらに精進したいと思います。

 

終わりに

今回、化学グランプリを通して、多くの参加者と交流する貴重な体験ができました。共に競技し、学び、時間を過ごすことができたことに、心から感謝しています。

代表選考と次回の大会に向けては、さらに成長し、より高いレベルで競技に臨みたいと思います。今回の経験から学んだことを活かし、次なる挑戦に向けて努力し続けます。

最後に、この素晴らしい大会を主催してくださった主催者、スタッフ、スポンサーの皆様に深く感謝の意を表します。皆さんのおかげで、僕はこの特別な体験を共有できました。次回の大会も楽しみにしており、またお会いできることを願っています。